これまでの取り組み 2025.4更新
私たち「すすめる会」は、今まで様々な闘いを通してたくさんの貴重な成果をあげてきました。その一部を紹介します。
〈2025.4更新〉
年度途中の臨時教員の首切り阻止!法律を乗り越えて!!
【主な経過】
ある義務制の学校で、いよいよこれから2学期の開始の日、定数内臨採のAさんが新たな意欲に燃えて2学期に臨んでいた矢先のことです。
突然、校長室にAさんは、呼ばれます。
そこで校長から出た言葉は、「辞めてもらうかもしれない。」という衝撃的な言葉でした。校長から「9月30日で辞めてもらうつもりです。」と言われました。さらに、10月1日からの仕事の話もまったくありませんでした。
Aさんは、4月から担任として勤務していて、子ども達とともに1年間「一緒に頑張っていこうと」教育活動に熱心に取り組んでいた最中のことでした。この校長の言葉を聞いて「一気にやる気がゼロとなった」と周りの先生方に話していたそうです。
突然の解雇予告に驚いたAさんは、「どうしたらいいんだろうか?」と悩み、たまたま同じ職場にいた「すすめる会」の先生と話し相談することができました。
「どういうことなんだろうか?」とAさんの許可のもとに経過を私たちの方で調べていくと、校長の「9月30日に辞めてほしい」という理由が分かってきました。
① その学校に特別支援学級(担任は本採用教員)があり、在籍児童・生徒が1名であった。
② その1名の児童・生徒が夏休みに転出をすることになり、学級数が1学級減となる。そのために「定数法」という法律に基づき学級数が1学級なくなることで、過員が1名出ることになる。そのため当該校の教員を1名辞めさせなければならなくなった。
③ その過員の1名は本採用者の首を切ることができないから臨時教員のAさんに辞めてもらうことになった。
④ なぜ、9月30日退職かと言うと、Aさんは、定数内臨採のため4月1日~9月30日までの辞令が出ていて、その後は10月1日~3月31日までの辞令が出される予定であった(この9月から10月につながることを法律的には「更新」と言います。)がそれを出さないことにして、事実上の首切りをしていくことになった。
⑤ その「辞めてもらう」という指示は、市教委から校長にきた。そしてその市教委の指示は、県教委の出先である教育事務所の判断でそこからの指示であったことが分かりました。
⑥ 教育事務所の定数法にもとづく判断の結果、「1人過員のために1人辞めさせる。」という流れになった。
⑦ 特別支援学級の「担任であった本採用教員が臨採者Aさんがもっていたクラスの担任になればよい。」という校長や市教委の考えだった。
【私たちのこの問題に対する見方】
定数法という法律がありこのようなことがおきたことに対しては、
① 臨時教員は確かに辞令が「4月1日~9月30日。10月1日~3月31日に新たな辞令」となっているが、この9月と10月はつながっているもの
(特段の事情がない限り更新が前提)として働く側も教育委員会も考えて契約して1年間雇用となっている。なので、これは事実上の「首切り」であり法律的にも許すことができない。
※時々、1学期に臨時教員のクラスが荒れて「担任(臨時教員の雇用も)を辞めさせようと9月30日に切る。10月1日から更新しない。」という話を聞くことがありますが、これも「クラスが荒れているから」という理由で「更新拒否」(首切り)は、許されません。⇒ 何かあれば「すすめる会」にご相談を。
② 子どもたちや保護者にとっては大切な担任の先生であり、10月から誰でもいいとはならない。教育の継続性の問題があり、子ども達の学習権の侵害であり許されない。
【取り組み】
〇市教委や教育事務所は「法律通り行う。」「法律違反はできない」を主張。
そこで、すすめる会としては、下記の【要求書「年度途中の担任変更をしないことを求める要求書」】を作成し大元である県教委(人事課)に提出して話し合いを申し入れました。
〇2回の話し合いによって、明らかになったのは、市教委、教育事務所段階で勝手に(?)進めてしまったことで、県教委は知らなかったということが分かりました。さらに、県教委人事課主幹は「首切りはしない。」「担任の先生はそのまま3月まで勤める。」「今後このようなことがないようにしたい。」と約束しました。
私たちの要求が全面的に通りました。
〇さらに私たちは、このようなことは、今後絶対にあってはならない。この話を「口約束」で終わらせないために県教委に文書を提示して各市教委に説明するように要求しました。
県教委も承諾して、下記文書を県教委は作成して、私たちに今後このようなことがないように努力することを約束しました。
県教委は、2019年12月4日に私たちすすめる会に対して2020年1月17日の各市町村の教育委員会人事担当者会議において、下記のようなことを説明することを約束し行われました。
1. 年度途中において、例えば特別支援学級の児童生徒が転出によりいなくなる可能性がある場合には、可能な限り速やかに各教育事務所を通じて小中学校人事課へ連絡していただきたい。
(上記のような場合が起きた時には、勝手に市教委、教育事務所が判断したり動くことなく大切な問題なので、速やかにしっかりと県教委の小中人事課へ連絡しなさい。判断は、小中人事課が責任をもってする。ということなりました。)
2. 小中学校人事課では、児童生徒の教育活動への影響を第一に考え、該当校における本採用者及び臨時的任用者の配置状況を考慮し、検討したうえで対応について教育事務所を通じて市町村教委へ連絡する。
(上記のことをふまえて、万が一クラスがなくなっても臨採者を簡単に雇用を打ち切るようなことはしません。それは「児童生徒の教育活動への影響を第一に考え」るので、規則通りというよりも「教育活動への影響」を重んじて判断して、市教委に連絡します。となりました。)
3. やむを得ず、臨時的任用者を同じ学校で任用できなくなる場合、そのことのみを伝えるのではなく、次の任用の可能性についてもあわせて伝えるなど、最大限臨時的任用者へ配慮した丁寧な説明をするようにしてほしい。
⇒ 上記の「3」は、下記のように修正されました。
新3.臨時的任用者の任用については、次の任用の可能性についてもあわせて伝えるなど、最大限臨時的任用者へ配慮した丁寧な説明をするようにしてほしい。
(今回に限らずに、一般の臨採者が3月に万が一雇用がなくなる場合も指します。すべての臨採者に丁寧な説明が求められるようになりました。)
〇この取り組みの結果、Aさんは無事にこのクラスの担任として3月まで子どもたちと共に過ごすことができ、たくさんの思い出をつくることができました。また、翌年度の4月からもこの学校ではありませんが、特に行政から不利益な扱いもうけることなく、仕事が継続することもできました。
〇特別支援学級の担任だった本採用教員の方は、その学校において少人数指導教員として子ども達のために尽力することができ、周りの先生方からしても1人多い状況で教育活動ができたことも大変良かったです。
【今回のことで大切に思っていること】
① まず、「臨時教員が声をあげる。やはり、理不尽なことに黙っていない。」「おかしいことはおかしい」と声を挙げることが大事です。そのために一人で悩まずに誰かに相談する。あるいは、「すすめる会」に相談することが大切です。
② 一番辛いのは声を挙げた臨時教員です。この方が不利益な取り扱い(次の雇用だとか、採用試験だとか)が及ばないように私たち仲間が、最大限配慮をしながら、立ち上がった臨時教員の気持に寄り添いながら私たちが動きます。(立ち上がった臨時教員が望まないこと、躊躇したりしていることには、絶対に勝手に私たちは動きません。)
③ 「法律が絶対ではない。法律は誰のためにあるのか?それは、子ども達のためであり、働く者のためにある。」というのが憲法の精神であり、そのための法律解釈が求められ、今回の闘いを通じてそれを実現することができました。「臨時教員のAさんの首切りは絶対に許さない。」という「すすめる会」の活動を通して県教委の先ほどの見解を引き出しました。
④ 臨時教員の雇用について、安易な首切りをしてはならず、次の雇用を確保するために最大限の努力をすること。そして、行政の努力にもかかわらず万が一、雇用がない場合でも臨時教員本人に対して「丁寧な説明」が求められることが確認されました。
以上
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教員採用試験の面接質問例問題
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ある臨時教員の不当解雇問題
ー完全勝利を勝ち取るまでの経緯
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