埼玉県臨時教職員制度の改善をすすめる会
「埼玉県臨時教職員制度の改善をすすめる会」(すすめる会)は、教育現場に不安定な身分で働く臨時教職員(常勤・非常勤・パート等)が、多数配置されていることを広く知らせ、その改善のために多様な活動を行うことを目的としています。
すすめる会とは
埼玉県の教育現場では、たくさんの臨時教員が働いています。その中には、法律上「臨時」であってはいけない職であるにもかかわらず「臨時」と言う身分で雇用され、正規教員とまったく同じ仕事をしている人たちも数多くいます。
定数内臨採と呼ばれ、ここ数年、小中高合わせると県内で約5000人もいるのです。この雇用形態は、半年ごとの有期雇用を繰り返す極めて不安定なものです。また、市町村費で雇用される学習支援員等の多くは、時給で仕事をしています。これらの臨時教職員は「次年度は仕事があるのだろうか」という不安を抱えながら、子どもたちの教育に当たっています。
このような状況にあっては、教師や親、子どもの共通の願いであるはずの、「子どもとじっくり向き合いながら、長い目で育てていくこと」が許されないことになります。
現在の教育をよりよいものにするためには、臨時教職員問題の改善がなくてはならないのです。そのためにもより多くの方にこの「すすめる会」に入会していただき、大きな世論としていくことが必須です。会員になり、この会を支え、発展させるメンバーの一人になっていただきたいと思います。
【会の目的】
①この会は、教育現場に不安定な身分で働く臨時教職員(常勤・非常勤・パート等)が、多数配置されていることを広く知らせ、その改善のために多様な活動を行う。
②また、会はゆきとどいた教育を推進するために、臨時教職員の「使い捨て」を許さず、教育現場に必要な補充教職員制度と県民に開かれた教員採用制度の確立を教育行政に求める活動を行う。
【主な活動】
○臨時教職員の実態や制度に関する調査活動を行い、その内容を広く知らせていきます。法律・制度等の学習を重ね、多くの臨時教職員の『生』の声を、口コミ、ビラ、署名、集会、マスコミなどを通して訴えます。
○臨時教職員の身分と待遇改善を行政(教育員会等関係部署)に求めていきます。
(『使い捨て』を許さない立場から、雇用継続の問題で交渉をしています。)
○県民・市民に開かれた教員採用制度の確立を行政に求めます。
(受験年齢制限撤廃を実現させました。長期に及ぶ臨時教職員の経験が、正当に評価される採用試験を求めています。)
○安定した補充教職員制度の確立について学習し、改善を求めていきます。
○全国の臨時教職員運動と連携を図り、幅広く運動を展開します。
【会への加入】
○会の目的に賛同できる個人・団体なら、どなたでも加入できます。
○会員の皆様には交渉や活動の報告、その他の情報を盛り込んだ「さくら草通信」をお送りいたします。
○会費(年間)
個人会費(2000円)、団体会費(4000円)
※印刷代、紙代、通信費など、会の運営費となります。あわせて、カンパについてもご協力いただけますよう、お願いいたします。
【会の代表】
代表 中西 新太郎(横浜市立大学)
副代表 後藤道夫(都留文科大学)
高橋晢(埼玉大学)
若生直樹(弁護士)
【事務局】犬股 susumerukaisaitama@gmail.com
【入会手続き】
郵便局に備え付けの郵便振替払込取扱票にて会費をお振り込みいただき、
通信欄に、①お名前②ご住所③携帯電話番号やメールアドレス等のご連絡先をご記入ください。
口座番号00170−2−570389、加入者名「埼玉県臨時教職員制度の改善をすすめる会」
「臨時教員の人間宣言」 愛知 山口 八重子
嫁入り前の娘のように
しおらしく、愛らしく
返事は,素直にはっきりと
仕事は、まじめにきちんとします
私は,臨時教員ですもの
正採用教員になれるように
次の任用が決まるように
仕事も修業のうち
毎日が売り込みの日々
どんな仕事でも
にっこり笑顔で引き受けます
嫁入り前の娘のように
ある日、「私、結婚します。」と言ったら
校長の目が、眼鏡の底から言った
「今年は、子どもを作らないだろうね。」
ある日、妊娠していることを知った私
任期が終わるまで、お腹の子が無事でいることを
ひたすら願っていた
「産休の先生が産休をとるなんて、できないもの。」
ある日、病気になり、入院することになった
「私、今入院するわけには行かないんです。」
病院の先生に、半年延ばして下さいと泣きついた。
まだ、任期が半年残っていた
私は、こうして臨時教員生活を十数年続けてきた
いつも、自分の要求を笑顔の奥に押しこめて
ある年、一年間の期限月の講師に任用された
たんぽぽの花咲く田園の中の学校で
ぴかぴかの一年生の担任だった
「先生、はなちゃんが泣いてるよ。」
「まさるくん、どうしたの。あらあ、のりがべたべた。」
「みっちゃんがまだ来ない。どうしたのかしら。」
子どもたちといっしょでうれしかった
そしていそがしかった
日中は子どもたちと真剣勝負
子どもたちが帰った後も
会議,授業研究、学級事務に職員作業
経験年数も多く、給料も高い私に容赦はない
雨あられと降ってくる仕事をこなし
家にたどり着くと、食事もそこそこに
畳の上に転がって眠ってしまう
夜中に目を覚まし、灯りの下で仕事に向かう
やがて睡眠時間が四時間になり
仕事しか見えなくなってしまった私
別れの三月
「先生は、教員の鑑です。よくやって下さった。」
と言って,校長は私を送りだした
そして四月
約束された仕事はなかった
「予定された学級増がなくて,申し訳ありません。」
教育委員会からの電話の一言で,私は,失業した
身をすり減らして働いても
教育委員会の都合で、首を切られる
どんなに教育効果を上げても
次の任用は,確約されない
失業し、家で待機していても
四時間型の睡眠が体に残り
夜中に目が覚める
暗闇の中で、私の人生を考える
妊娠を心から喜べなかった私
自分の命よりも,仕事を心配していた私
家庭よりも、仕事に夢中だった私
そんな私に,教育委員会は
丈夫な体で、元気に仕事こなす
私のいいところだけを欲しがった
生身の体で
病気にもなれば、疲れもする
子どもも産めば,家庭もある
年も取れば、老後もある
そんな私には,めをつぶり
私の人生のいいところだけを吸い取ってきた
でも、私は、生きている人間なんです
そして、人間を育てている教員なんです
私の体をぶち切りにして
いいところだけを食べないで下さい
私に、失業の代わりに,仕事をください
産休の代わりの先生をしてきた私に、産休をください
そして何よりも,自分の要求を言える権利をください
私は、今日、ここに、臨時教員は、人間であることを宣言します。